ニュータウンなどを歩いていると、家のまわりが裸地のまま手付かずになっている新築住宅をよく見かけます。
「庭(外構)に使えるお金がない!」というのが主な理由だとおもいます。
当初から庭の予算を考えていなかったり、考えてはいても、家を建てるのに予想外の出費がかさんで当初考えていた庭の予算が削られたりで、
「家は完成したものの・・・さて、庭をどうしよう?」
と悩んでいらっしゃる方も多いことでしょう。
「庭の改修」を思い立ったものの先立つものがないという話もよく耳にします。
そういった場合によく使う方法が「ステップアップ・ガーデン」です。
工事を分割して、段階的に少しずつ庭をつくっていく方法です。
予算が不足しているが、
①玄関周りだけでもきれいにしたい・・・
②プライバシーだけは確保したい・・・
③駐車場だけでもきちんとつくりたい・・・
④徐々にでも庭づくりを進めておきたい・・・
そういったみなさんに「オススメ」の方法です。
ただ、そのやり方によっては「デメリット」が発生する場合がありますので注意する必要があります。
(以下に記載しています。)
選択の余地なく、必然的に「ステップアップ・ガーデン」となってしまう場合もあります。
外構が未整備の新築物件で、駐車場や土留壁、転落防止柵など、生活していくうえで最低限必要な施設を取り急ぎ整備しなければいけない場合です。(よくあるケースです・・・)
その場合で、庭全体の整備に必要な予算の確保が難しければ、必然的にステップアップ・ガーデンとなります。
家を建てる場合は、そういったことも踏まえたうえで、あらかじめ外構を含めた全体の予算計画を立てておいた方が良いと思います。
ここではステップアップ・ガーデン(段階整備)のポイントを記載していますので、参考にしてください。
1.庭全体の計画を描いて、その中でプライオリティ(優先順位)をつける。 |
ステップ・アップ・ガーデンの場合でも、庭全体の計画(構想)を描いておくことが大切です。全体のプランがないのに、部分的に「もの」つくってしまうと、必ず後々後悔しますし、空間全体のバランスがバラバラになってしまいます。
次に、その中での優先順位をつけます。優先順位は全体計画の内容、みなさんの考え方によって変わってきますが、ここでは一例としての優先順位を挙げておきます。
優先順位1~生活していくうえで最低限必要な施設
駐車場や玄関までのアプローチ、郵便ポスト、土留壁、転落防止柵など
優先順位2~プライバシー確保のための施設
生垣などの遮蔽植栽やフェンスなど
優先順位3~玄関前の修景施設
家の外景観を左右する植栽や修景施設など
優先順位4~庭(プライベート空間)の施設
植栽、景石、デッキ、など
2.工事の手戻りを避ける。 |
工事の「手戻り」がないようにすることです。例えば以下のようなことです・・・
①庭工事に土の搬入・搬出など、ダンプトラックなどの車輌乗り入れが必要な工事があれば、可能な限り先行工事でダンプトラックが庭に寄りつけなくなるような工事を避けたり、先行工事であらかじめ土の搬入・搬出だけでもやっておくこと。
②駐車場にカーポート(車庫の屋根)をつくる予定なのに、先行してコンクリート舗装を行う場合、カーポートの基礎だけでも舗装と一緒に作っておくこと。
③照明やインターフォンなどの配管・配線が必要な工事を後からやる場合、舗装の下に空管だけを埋設しておくこと。
3.工事の必要以上の細分化を避ける。 |
例えば、同じ工事を3分割して工事する場合より、10分割して工事をする場合の方が、トータルの工事費は高くなります。経費が余計に掛かるからです。
経費はその各工事の工種にもよりますので、どう分割したらよいかを設計者や工事業者に相談したらいいと思います。
4.self-made Gardenにも有効。 |
1期工事としてセルフメイドでは難しい工事を業者に依頼して、あとは自分たちで仕上げていく方法です。
例えばウッドフェンスは自分たちでつくりたいとしても、面倒で重労働になりそうな基礎だけ業者に頼むとか、植栽はシンボルツリーだけを業者に頼むとかいろいろな方法が考えられます。
5.実際に住んでみてからの計画変更が容易。 |
新築物件で家と庭とを一緒に計画した場合、実際にみなさんが住んでいない段階での設計となります。もちろん「生活スタイル」や「庭の使い方」「部屋からの見え方」をきちんと想定して設計してあれば、全体的な構成や使用素材などに関しては問題ないと思いますが、細かい部分で実際に住んでみてから気づくこともあると思います。例えば、樹木の位置であったり、フェンスの高さであったり・・・1期工事を必要最低限の整備にすることで、そういった細部の計画変更が容易になります。
実際に住んでみたら、計画図面を実際に敷地に描いてみてください。
そうすると、思っていたより「狭い」であるとか「広い」であるとか、図面では分かり難かったスケール感を体感することができると思います。